初回頒布分の中から、最初の起動は問題ないものの2回目に電源を入れるとバックライトも点灯せず、事例によってはU4から焦げたにおいがしたり煙が出て、最悪焼損する故障発生が報告されました。当初、3.3Vラインの立ち上がり時の電圧がピーク3.8Vのオーバーシュートをみとめたことから、U2の絶対定格を超えたことによりU2がニアショートモードで故障、そのためU4の出力負荷が増大しU4が損傷するというプロセスが考えられ、U4の出力側のコンデンサC15を1μFに落とすことでオーバーシュートが改善されたことから2nd batch分からは対策を行いましたが、それでも故障事例が発生しました。
そこで電源電圧を13.8VとしたときのU4の入力側の電圧をオシロスコープで観察すると、
このように電源電圧をはるかに超えたピークを持つ電圧曲線が観察されました。U4の入力電圧絶対定格は22Vで、電源電圧が高い場合一定時間絶対定格を超える電圧がU4にかかることによって故障が発生し、出力電圧は3.3Vをはるかに超える9Vが観察されU4のパッケージが発熱しました。このことによってU2は直ちに故障し、ショートに近い状態となってU4内にさらに過大な電流が流れて焼損するというプロセスが判明しました。
そしてもうひとつ、前回の投稿のようにU4の入力側のC16を10μFから1μFに落とし、過大電圧に晒される時間を短くすることによって当座破損は免れましたが、まだ不十分のためさらに精査を進めるべくU4の入出力の電圧曲線を観察しました。(上の黄色曲線は入力側の電圧、下の青い線は出力電圧です)
スイッチを入れると入力電圧は30Vに近い鋭いピークのあと一旦電源電圧に落ち着き、約140μ秒から緩やかに電圧が下がり始めてさらに70μ秒経過すると再び鋭いピークを描きようやく電源電圧に落ちつくという大きな変動が観察され、同時に出力電圧は、2回目の入力電圧のピークにあわせて4V近くまで一時的に上昇していました。
この変動の大元の原因は電源スイッチのチャタリングで、4Vの一時的なピークはチャタリングによる大きな電圧変動に対するU4の応答と考えられましたが、4VはU2の絶対定格を超えているのでこのことがU2を故障させる可能性が充分考えられました。
対策としては、色々検討した結果U4の入力に比較的大容量の電解コンデンサを付加することで電源電圧変動を押さえ込むという結論に至りました。
C16を1μF以下に換装し、さらに25V100μFを付加したときの13.8V電源供給時の電圧変動を観察しました。
入力側の電圧曲線では改修前に見られた2つの鋭いピークは消失し、チャタリングの部分でわずかに一時的な電圧低下が見られるにとどまり、出力電圧もオーバーシュートや一時的な電圧上昇も見られず安定していました。
これでU2,U4の故障の可能性はかなり抑えられたと考えられ、今回改めて投稿となりました。
全VNシリーズに対して、以下の改修を施すようお願いいたします。未改修の場合は、12V以上の電圧を供給すると故障する可能性がかなり高くなりますのでぜひ対策してください。
クリックで拡大表示になります、たぶん。 |
この対策で安定化電源13.8Vでの動作も問題ないでしょう。
今回の事例の調査、修理、実験などで多大なるご協力をいただきましたJE3QDZ 吉村OMに深く感謝いたします。
最後に、現在12/8に時点でVN-4002キット
追記:部品(0.1μFと25V100μF1つずつ)入手困難な場合はメールでお知らせください。
対応させていただきます。
確認作業お疲れさまでした。これで一安心ですね、後日改修します
返信削除VN-4002完売ですか!皆さんに周知されてきたのでしょうか
竹本さん、コメントありがとうございます。
削除「周知」の意味を少し勘違いしていました。これは竹本さんのブログでご紹介いただいた効果が大きいと思います。それからブログに掲載されている写真がどれも綺麗に撮影されていていつも感心して拝見しております。
竹本さん、コメントありがとうございます。
返信削除確定後対策用のパーツと手順書を同梱しましたが、このブログとSNS、メールでこれからも周知いたします
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返信削除小野さんお手数をおかけします。大変と思いますが頑張ってください
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