2017年11月19日日曜日

VN-4002初回頒布分CTRL部電源の不具合について

VN-4002の初回頒布分のうち主にシリアルナンバー後半(30~50/50)のキットで、CTRL部のU2(Si5351A)とU4(XC6202P332PR-G)の故障報告を数件いただきました。

特にU2が焼損してしまうという深刻な例もありました。

JE3QDZ局吉村様がこれら故障例について独自に調査された結果、以下の原因によって生じる可能性が高いということが判明いたしました。

もともとU4の出力側には比較的大容量のコンデンサ(C15、10μF)が繋がっていますが、この容量負荷よって電源投入時、U4の出力電圧は比較的緩やかに上昇して一旦3.7V付近をピークとした揺らぎをみとめた後、定格の3.3Vまで収束します。C15を1μFへ変更することでピーク電圧が抑えられることも確認しました。
一方U2のデータシートを見てみると、推奨されるVDD上限が3.6V、絶対定格が3.8Vとややシビアなため、個体によっては電源投入初期に前述のように3.3V電源ラインがU2の絶対定格を一瞬でも超えることによってU2が故障するという可能性が考えられました。
さらにまた故障したU2のVDD-GND間の抵抗を測定すると数Ωを示しており、どうやら完全なショートにはなっていないかったようでした。
次にU4に関してですが、実験では完全ショートでフの字特性による出力ショート保護が働き電流が抑制され、ショートを解除すると復帰します。今度は5Ω程度(計算上3.3Vでは定格を超える660mAが流れます)の抵抗を接続すると、出力電圧が徐々に低下すると同時にU2のパッケージが発熱します。さらに続けるとかなり熱くなります。データシートにはサーマルシャットダウン機能がなさそうで、出力側がU2の故障により完全なショートとならず低抵抗となったため過電流となり、それが続いた結果U4が故障または焼損したのであろう結びました。

要約すると、電源投入時に3.3Vラインが一瞬3.8V前後まで上昇 ⇒ U2の絶対定格を超え故障 ⇒ U2のVDD-GND間が完全なショートにならず数Ω ⇒ U4のショート保護が働かず出力電流が上昇しU4が故障もしくは焼損 という流れです。

初回頒布分への対策としては、C15の容量を1μF以下にすること、U2への電源ラインに電流制限抵抗を挿入する、またはU4を3.0Vのものに変更するなどが考えられます。

念のためU2のレジスタ指定を変更することによって(Firmware 1.16, Google+コミュニティへ投稿しています)出力電流を最大の8mAから半分の4mAへ減じU2の動作を軽くしました。DBMへのLo、BFO出力は2~3dBほど落ちますが受信感度にはほとんど影響なさそうで(実測はしていません)受信時の消費電流も約8mA減少します。

そういうわけで2ndBatch分にはC15を1μFに変更させていただきました。

初回頒布分で一度動作したのに、次に電源を入れたら動かなくなったなど不具合が生じた方はコメント欄、もしくはメールにてご連絡ください。 よろしくお願いいたします。

今回のことで2ndBatchの頒布が遅れてしまいましたが、対策済み分のパーツ仕分けが進んでおります。今月中には頒布できると思いますので今しばらくお待ちください。

最後に、今回の問題について詳細な検討や的確な対策をご提案、実践いただきましたJE3QDZ局吉村様、故障素子の測定とご報告をいただいた局長様のみなさまへ改めて深く御礼申し上げます。

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