2021年3月30日火曜日

VN-xx02シリーズ頒布終了のお知らせ

 本日最後のVN-2002キット頒布依頼があり早速キットを発送しました。

 2016年の最初の試作機から人柱版の頒布、ハードとソフトの改修を重ねてきたVN-xx02シリーズは今回の頒布完売をもって頒布を終了することにしました。

 プロジェクト立ち上げ当初では思いもよらなかった完成度に至ったのは、製作いただいた皆様の数々のフィードバックのおかげです。心から感謝します。

なおファームウエアのアップデートなどは、これからもこのブログで随時公開します。


2020年7月1日水曜日

VNシリーズ頒布情報について (New English manual released)

いままで頒布キットのページごとに頒布情報を掲示しておりましたが、煩雑になって混乱を招くため、キット頒布に関するお知らせは「万年準備中のブログ」の「自主製作キット頒布情報」にほかのキットと集約し、こちらのブログでは削除、整理しました。

今後こちらのページでは主に技術情報(ハードウエア、ソフトウエア)について投稿します。

頒布関連のご質問はメールで、技術情報についての質問などはコメント欄に記入していただくかメールでお知らせください。

今後ともよろしくお願いいたします。

追伸
英語版マニュアルを更新しました
New English manual has been released. Latest version(1.30e) is HERE

2020.7.1 JL1VNQ / HARU

2019年1月26日土曜日

VN-2002出力改善のヒント

VN-2002(14MHz)はLPFと,受信部のアンテナ切り替え回路の定数を変更することで受信感度と送信出力の改善を行いましたが,まだ十分な送信出力が得られないという報告があり,また製作代行で私自身が製作したVN-2002も出力が3Wにわずかに届かないこともあり改めて検証しました.

まずLPF単体の特性を測定しました.


黄色曲線がリファレンスで紫色曲線はLPF単体のゲイン特性です.fcは14.7MHz
で設計していますが,測定結果もほぼ設計通りになっていました.ただもう少しfcを上げても良いかもしれません.

次にBS170パラレルのゲート・ドレイン電圧曲線を測定しました.
(青色:ゲート電圧,黄色:ドレイン電圧)


ドレインピーク電圧は54.0VとVDDの約4倍弱と低くありません.スイッチタイミングは一見ピッタリのように見えましたが,ドレイン電圧の立下りからゼロになるほんの直前でゲート電圧が立ち上がっています.2本のプローブは同規格で測定に依るずれはないものとするとE級ネットワークの共振周波数がやや低い可能性がありました.

そのためE級ネットワークの定数を調整し共振周波数をやや上げた結果出力上昇がみられました.

具体的にはC63とC64の合成容量250pFを10pFずつ下げて検討しました.


 その結果230pF(220pF+10pF)で出力3Wに到達しとりあえずの妥協点としました.

もっと下げれば出力は上がりますがスイッチポイントのずれや負荷インピーダンスとのミスマッチが大きくなって効率が落ちてしまいます.またL9とC59,60の調整も本来は必要でしょう.

そういったわけで,VN-2002を組み上げた際出力がやや弱い場合は上記の調整を試みるようにしてください.できればオシロスコープでゲート・ドレイン電圧を観察しつつ良いポイントを探してみてください.

2018年8月21日火曜日

VN-2002用LPF改修決定版とハムフェア2018について

以前VN-2002の出力と感度改善のための改修法をご紹介しましたが(記事はこちら)、送信出力の高調波スプリアスを観察すると下のように3倍高調波がやや目立っています.


画像のマーカーでは-55dBcと基準以内に収まっておりますが,連続送信で終段のBS170がやや熱くなってきました。CW運用には差し支えない程度ですが、おそらくLPFコイルの改修(1turnずつ巻き数を減らす)によってLPFの入出力と終段の出力とのインピーダンス不整合が大きくなったことが原因と考え、改めてLPFを設計し直しました。

再設計したLPFの各定数は以下の通りです。

(設計条件:fc=14.7MHz, fs=22.0MHz, Apass=0.05, Zin=Zout=50Ω)

C66 180pF
C67 -
C68 150pF
C69 270pF
C70 150pF
C71 270pF
C72 220pF
C73 -

L6 0.778uH (T37-6 core 16Turns)
L7 0.875uH (T37-6 core 17Turns)
L8 0.778uH (T37-6 core 16Turns)


 L5とC65は、以前の改修例でOKです。

この改修により、3倍高調波は-60dBc以下に抑えられると同時に出力は13.8V電源で3W以上は確保、受信感度は-145dBmのキャリアが耳で聞こえる程度まで向上しました。

2倍高調波レベルはほぼ変化なく十分抑制されています
 今後VN-2002はこの改修を含め頒布いたします。

8/25,26に東京ビッグサイトで行われるハムフェア2018では直接会場での頒布予定はありません。事前にご連絡いただいた方のみ当日お渡しは可能です。

JARL QRP Clubブース(J-18)で可能であればVNシリーズの展示を考えています。

2018年7月26日木曜日

Pickitシリーズによるファームウエアプログラミングについて【重要】

先日、Pickit4を使ったファームウエアプログラムが出来ないとの報告がありました。

Pickit4とはMicrochip社純正のPICマイクロコントローラープログラミングデバイスの最新版で、秋月などでもすでに販売されております。

私のプログラム環境はPickit3でしたので気がつきませんでしたが、手持ちのPickit4と2018.7時点で最新のMPLAB X IPE 5.0.0で確認したところ、いただいた報告と同じようにDevice ID取得エラーが発生しました。

PowerセクションのHigh Voltage on MCLRに相当するチェックボックスをオンにしましたがエラーは解消されませんでした。

同じソフトウエア5.0.0でPickit3を接続しましたが、Pickit4と同様にDevice ID取得エラーが出ました。

そこでIPE v5.0.0アンインストールしてからバージョンを従来の3.30に戻してPickit3を接続したところ正常動作に戻りました。

5.0.0のときVppラインをオシロスコープで観察したところ、通常VCC+4.5V (大体8V程度)を示すはずですがVCC以上には上がりませんでした。この辺が原因なのではないかと見ていますが現在のところ解決に至っておりません。

ソフトウエアの設定などを確認して解決法を探りますが、当面の間はファームウエアのプログラムにはPickit3とMPLAB X IPE 3.30~4.05の組み合わせを推奨します。

もし解決策などご提案があればコメント欄にご報告をぜひお願いいたします。

2018年7月11日水曜日

第23回関西アマチュア無線フェスティバルでVNシリーズ頒布します

来る7/14、15の2日間開催される関西アマチュア無線フェスティバル(KANHAM2018)でVNシリーズキット(VN-4002, VN-3002, VN-2002)を3セットずつ持ち込み頒布する予定です。

頒布価格は8,000円です、頒布ご希望の方はお釣りの無いようにお願いいたします。

各セットのPICには最新のファームウエア(ver.1.40)が書き込まれています。また、VN-2002については、受信感度改善用のパーツ(2.2μHのチップインダクタ, 47pF, 270pFのチップコン)を同梱予定です。

頒布場所はいつもの『リトルガンくらぶ』ブースになります。

私も店番のお手伝いをしていると思うので、 よろしくお願いいたします。

2018年5月27日日曜日

VN-2002の出力と受信感度向上のための改修例について

14MHz版VN-2002は、他のモデルに比べて出力が低い(13.8Vで3W弱)ことと受信感度がやや低いため改善方法を模索しておりましたが、ひと通り改善することができましたので改修方法の一例としてその手順を公開します。

なおキット内容とマニュアルは改修前の状態ですので、必要なパーツ(2.2μHチップインダクタ、47pFと270pFチップコンデンサ)は含まれておりません。今後頒布する分には追加パーツとして同梱する予定ですが、配布済みの分につきましてはご自身でご用意くださいますようお願いいたします。

まず送信部から。

改修法は単純で、LPFの3つのコイル(L6,7,8)の巻き数をおのおの15回から14回に1回分減らすだけです。これにより出力は13.8Vで3W強に上昇します。高調波スプリアスは測定上2次高調波で数dB悪化しましたが-58.8dBcと基準は余裕でクリアしています。


次に受信部です。

下の写真の赤丸部分が改修ポイントです。


まず、L5, C65, C66, C67を除去します。
そのあとL5パッドに47pFのコンデンサを、C65に2.2μHのインダクタ、C67に270pFのコンデンサをそれぞれ装着してください。

改修ポイント

L5の値が大きいことによる感度不足が主な原因でした。L5とC65を入れ替えたのは、送信時L5が送信出力に並列に接続されることによるインピーダンスの乱れを抑える目的でLとCの位置を交換しました。換装したCの容量分C67の容量を減らしました。

VN-4002、VN-3002につきましては現状の回路構成で出力・感度は十分取れているのでそのままで差し支えありません。もちろん改修も可能ですが(各定数は周波数帯により異なります。計算の上決定してください。)検証はしておりませんので自己責任でお願いいたします。